現在、日本では業種問わず、人手不足が慢性化してきており、特に飲食業界などのサービス業の人手不足が深刻化しております。
また、常勤職員のみならず、非常勤職員(パートや派遣)の雇用も難しくなってきており、「非常勤なら雇用が簡単に雇用できる」という時代ではなくなってきております。
このような時代の中で、救世主ともなるべく、登場したのが「スキマバイト」です。
中長期の雇用形態を結ばず、人手が欲しい時間帯に募集をかけ、その募集要項にマッチする人材を、その時間だけ雇用する、雇用契約(業務委託契約)です。
有名どころでいうと、「タイミー」、「シェアフル」、「メルカリハロ」などですね。
このスキマバイトを活用する上で、何か制約などないのか?法規制はどうなのか?
疑問に思いますよね!
そこで、スキマバイトの「注意点・知っておきたいこと」、採用する「メリット」「デメリット」などを、社労士視点でまとめていこうと思います。
注意点・知っておきたいこと
従業員を雇い入れる準備を!
※初めて従業員を雇いれる事業所の場合です。
従業員を初めて雇用する際、必要となる手続きの中に「給与支払い事務所等開設・移転・廃止」の届出を行う必要があります。
従業員を雇用する事業主は、従業員の給与から所得税を計算して天引きし、本人に代わって国(税務署)に納める源泉徴収を行う義務があります。
源泉徴収した所得税を納めるためには、「専用の納付書」が必要となり、この納付書を送付してもらうための届出(手続き)となります。
従業員から徴収した源泉所得税は、期日内に納付しなければ、すぐペナルティを課せられるため、こちらの届出は絶対忘れないようにしましょう。
ちなみに「給与支払い事務所等開設・移転・廃止」の届出自体は、「従業員を雇い入れてから1月以内に届出」とされていますが、遅れてもペナルティはありません。
また、対象の事業所は限られますが、同時に「源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例」も届け出ることをオススメいたします。
本来、従業員から徴収した源泉徴収所得税は「1月に1回」収めなければなりませんが、こちらを届け出ることにより「半年に1回」の納付で済むようになります。
スキマバイト等で一時的に雇用する方も、立派な従業員です。上記届出はしっかり行いましょう。
労災は適用対象!
スキマバイト等にて、「雇用契約」を締結する場合は、原則労災保険の適用対象となります。
そのため、もし、スキマバイトの従業員等が、業務中怪我をしたり、通勤途中に怪我をした場合などは、お近くの労働基準監督署に、「請求書」の提出を行いましょう。
また、「初めて従業員を雇用する方」や、「労災保険の適用に関する各種手続きを失念していた方」へ
「農業・林業・水産業」のように例外はありますが、基本的に従業員を1人でも雇用する場合、労災保険の適用が義務付けれられております。
その際、従業員を1人でも雇い入れた時に、労災保険の適用事業所となりますが、「保険関係成立届」と「概算保険料申告書」を届け出なければなりません。(上記届出をしないで労災が発生した場合、事業所の負担金が増大することがあります)
そのため、初めて従業員の雇用を考えている方や、これら届出を怠っていた方、これを機に届出を行いましょう。
これら労災保険の各種申請書・請求書は割と複雑だと個人的に思っております。
そのため、「各種申請書・請求書の作成から届出まで代行してほしい」などございましたら、下記リンクより、お気軽にお問い合わせください。
また、「本当に労災の適用対象事業所なのか?」「この怪我は労災に該当するのか?」などの、簡単なご相談も受け付けております。
募集要項の労働条件等は適切か?
従業員を好き勝手な労働条件で雇用しては言いわけではなく、しっかりルールが定められております
例えば、「休憩を除く労働時間は、原則1日8時間以内」、「違約金や損害に対する賠償額を定めることは禁止」など
さらに、「最低賃金」に関しては、多い時で年に数回改正がされているので、要注意です。随時チェックしましょう。
スキマバイト等運営サイトが、どこまで関与しているかわかりませんが、違法は労働条件の掲載は、スキマバイトの信用にも関わると思うので、事前にチェックしてるかもしれませんね。
「業務委託形式」の場合は、フリーランス法の適用がある場合があるので、チェックしておきましょう。
雇用契約時には、労働条件通知書等の書類を作成を!
雇用契約を行う際、内定者(従業員)に「労働条件通知書等」を送付(通知)する必要があります。
こちらは、法的に定められているので、絶対作成するようにしましょう。
(詳細は「業務内容>採用活動〜入社前までに関する業務代行>2)労働条件通知書、雇用契約書に関して」)
こちらに関しても、スキマバイト等運営が、これらを代行して作成から通知まで行ってくれる場合がありますので、運営のサービスをチェックしてみましょう。
「業務委託形式」の場合は、特に義務付けはありませんが、トラブル防止のため「業務委託契約書」等の作成をオススメします。
残業時、深夜勤務時は、適切な各種手当の支給を!
スキマバイト等で雇用する従業員も、残業代や深夜手当支給の対象となります。
原則、「労働時間が週40時間、1日8時間を超過する部分については残業代(割増率25%以上)」の支給を、「22時〜翌5時までの深夜勤務に関しては深夜手当(割増率25%以上)」の支給を行いましょう。
しかし、例外もあるので、次のような場合は支払わなくても構いません。
※ただし、「募集要項」や「労働条件通知書」にその旨を記載すること
- 変形労働時間制等を採用しており、1日8時間以上の所定労働時間がアルバイトにも設定されている。
- あらかじめ、報酬に固定残業代や深夜手当含ませている場合
- 管理監督者や、農業・畜産・水産業などの職種
など
さらに、複数の事業所(就業先)から報酬を得る(本業+副業など)従業員を雇い入れる場合は、これら労働時間を合算(通算)し、この合算された労働時間が「週40時間、1日8時間」を超過した部分については残業代を支給しなければなりません。
この残業代の支給は、原則、後に雇用契約をした事業所(就業先)が支払う義務があります。
そのため、ほとんどの場合は、スキマバイト等を採用する事業所が支払う義務を負います。
しかし、この合算対象となる労働時間は従業員の自己申告制のため、スキマバイトを採用する事業所が積極的に問う必要はなく、申告がなければ残業代を支給する義務はありません。(だってわからないので)
さらに、上記申告されたから採用を見送るなども問題ありません。(まだ雇用契約締結していないので自由です。)
では、労働後に申告された場合(後出しジャンケン)はどうなるか?
個人的な意見では、法に則り、残業代を支給するしかないのかなと思ってます。
しかし、裁判例があるわけではないので、今後この辺はチェックしていきたいですね!
急なキャンセルは、休業手当を支払うことも?
雇用契約締結後、会社(事業主)都合により、急にキャンセルをした場合、支払う予定だった報酬の「平均賃金の6割⇨休業手当」を従業員に支払う義務が生じます。
ここでいう「平均賃金」は、支払う予定の報酬額とは異なり、厚労省が定める計算式によって求められます。
スキマバイトの平均賃金は、「日雇労働者の平均賃金の計算式」を用いるのが、適切と想定されます。
日雇労働者の平均賃金は、原則として、「1稼働日当たりの賃金額(1日の報酬額)に100分の73を乗じて得た額」とされていますので、そのように計算をし平均賃金を算出しましょう。
ただし、次のような場合は、休業手当を支払う必要はありません。
- 従業員の都合による休業
- 自然災害(台風等)による休業
- 会社が倒産、経営悪化等による廃業
- 計画停電などの外的要因による休業
- 労働者の健康を考慮して休ませる場合の休業
など
また、当初契約を結んでいた労働時間より前に早上がりさせた場合なども、同様に休業手当を支払う必要があります。
その場合も「平均賃金の6割」を補償しなければなりません。
例1)8時間勤務、10,000円の報酬で雇用契約を結んでいたにも関わらず、会社都合により、休業を伝えた場合
「平均賃金=10,000円×73/100=7,300円」
「休業手当 = 7,300円(平均賃金)×60%=4,380円」
を支払う必要がある。
例2)8時間勤務、10,000円の報酬で雇用契約を結んでいたにも関わらず、会社都合により、3時間の労働で早上がりさせた場合
「平均賃金=10,000円×73/100=7,300円」
「休業により補償しなければいけない額 ⇨ 7,300円(平均賃金)×60%=4,380円」
すなわち
「3,750円(3時間分)+630円(休業手当)=4,380円(平均賃金の6割補償)」
を支払う必要がある。
今回の「休業手当」は「雇用契約形式」の場合のみですが
「業務委託形式」の場合の急なキャンセルは、違約金や損害賠償の対象となる場合がありますので、ご注意ください。
メリット
原則、雇用保険・社会保険の加入対象外
スキマバイト等の形態では、原則、雇用保険や社会保険の加入対象とならないため、面倒な各種保険関係の加入手続きを行わずに済みます。
「日雇労働被保険者」や「健康保険日雇特例被保険者」という制度もありますが、スキマバイトでは関係のないことなので、無視でかまいません。(「スキマバイトに関すること(労働者編)」で少し触れてます)
人件費を抑えられる
上記した、各種保険に加入しないことにより、事業主負担分の保険料が抑えられること。
必要な時間だけ、従業員を雇い入れる制度のため、適切な時間・場所に人材配置を行うことができ、無駄を軽減できる。
逆に、スキマバイト運営側に手数料を支払う点はデメリットかもしれませんね。
必要なタイミングで、人材が確保できる
従業員が急遽休みになってしまった場合など、急に人材を確保しなければいけない状況に、人材を確保できる点はとてもメリットですね。
優秀な人材が来たら、継続雇用に切り替えることも?
スキマバイト等に応募してきた人材が、とても優秀であり、継続して雇用したいと思える人材であれば、その場で継続雇用のお誘いができる点もメリットかと思います。
実質的に、「スキマバイトが試用期間」的な扱いにできて良いですね!
ただし、無理な勧誘は絶対にやめましょう。トラブルの元です。
デメリット
事前にどんな人材かわからない
事前に、雇い入れる方の各種情報は入手できると思いますが、事前に面談するわけではないので、当日までどのような人なのかわからない点が怖いですね。
サービス内容は、運営サイトにもよりますが、スキマバイトに登録している人のユーザー評価などを参考にすると良いでしょう。
当日欠勤のリスク
どの従業員にも言えることですが、スキマバイトは特にドタキャン・当日欠勤リスクは高い傾向にあります。
運営サイトも、ペナルティを課すなど対策を取っているそうですが、まだ多いそうです。
運営サイトにもよりますが、スキマバイトに登録している人のユーザー評価などを参考にすると良いでしょう。
会社(事業所)特有のスキルは身についていない
当たり前ですが、スキル不足はやむ得ないでしょう。
飲食店の場合なら、メニューは覚えていないでしょうし、デリバリー業の場合なら、必要な周辺の地図が頭に入っているわけではありません。
このあたりをご了承の上、スキマバイトの採用を検討するようにしましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。
スキマバイトは、急遽人手が必要となった時に、気軽に従業員を雇用できる制度ではありますが、従業員を雇用する上での「様々な各種手続き」や「法的制約」などは、避けられません。
また、「メリット」や「デメリット」も存在するため、スキマバイトを採用する際には、本記事にまとめた内容を参考に、検討してみると良いでしょう。
本記事により、簡単にまとめましたが、「文面のみじゃわかりづらい」、「より高度な相談をしたい」など、ございましたら、これらの専門家である社労士がご相談をお受けいたします。
また、「単発のご相談」以外に、「社労士顧問契約」や「各種申請手続き代行」なども
ご対応可能ですので、下記リンクより、お気軽にお問い合わせください。





